学習基盤を強化する-グルーバル社会において
加速化していくグローバル社会において、どういった学習を基盤として強化、発展させていく必要があるかを考えてみたいと思います。
学習基盤に相当する社会的用語に「社会資本」があります。この「社会資本」は「インフラ」ともよばれて重要語句のひとつとなっています。これは、「産業活動や生活の基盤となる施設の総称」であり、道路、港湾、空港、公共輸送機関、電信・電話、上下水道、病院、学校のことをいっています。そして、この十数年で加速化している、情報通信網、学校へのPC、タブレットの導入、研究設備の整備などもふくまれるようになってきています。
学習基盤とはまさに子どもたちにとって生きていく上での重要かつ不可欠なものといえます。この学習基盤がリテラシーに相当するものです。
古いリテラシーの内容は、漢字が読める、文字を書ける、そろばん(計算)ができるというものでした。明治の初期はこの普及が政府の目的でした。ところが、征韓論あたりから明治政府は外国との貿易だけでなく<戦争>を意識しはじめ、外国から軍事産業を導入し、生産への道を歩みはじめたのです。この辺りから、単なる「読み、書き、そろばん」ではすまなくなったのです。軍関係ではとくに情報収集、分析、そして戦争への対応力強化が行われ、後の産業立国へと引き継がれていったのです。いいかえれば、一般大衆のリテラシーと、エリート層のリテラシーとの間に量的・質的な乖離が拡大されていったともいえます。
軍関係を中心に、このころからスーパー・リテラシーともいえるものが確立されていきました。「読む」とは「情報を分析する」あるいは「数値データを読みとる」なのです。また、「書く」とは「計画を立案する」であり、「事業計画書を作成すること」なのであり、「計算する」とは「数値データを集める」ことであり、「数値データを組み合わせる」ことなのです。
いま、私たちはこのスーパー・リテラシーを学習者に付与することに全力を挙げて取り組む段階に到達しています。
そのためにも、英語・国語の文章読解力、文章記述力を、そして算数・数学における論理的思考力と、発想力の育成に取りかかる必要があるのです。
私たちがいますぐ取りかかることができるのは、この言語読解力と記述力、そして論理的思考力と発想力の育成なのです。同時にこれらのことを文書化できるPC駆使力の育成も必要としています。
子どもたちにとって、「おもしろい」と判断できる基準は学習対象が彼らの頭の中で想像できるものであるかどうかではないでしょうか。もちろん、それは日常的なことについて学習するという意味ではありません。また、一般的抽象的な学習は必要ないということでもありません。
たとえば、最近の子どもたちは言葉を短縮化して使うことが大好きなようです。例えば「タピる=タピオカドリンクを飲む」などです。これらは立派な学習対象になります。私たち自身というよりすべての人間は短縮した言葉をよく使います。
「IB」や「AO入試」などのようにです。これらの事例から、どんな言葉が短縮化されやすいのか、年齢的にはどう短縮化して使われているのかが社会学のカテゴリーに入る発展学習でもあるのです。
スウェーデンの中学生が使う社会科の教科書を見たのですが、これなども、問題解決力を養成するというコンセプトでつくられており、子どもたちも暗記対象としての社会科ではなく、子どもたちの関心をひく対象をもととした教科書になっています。たとえば、ある子どもたちは「お金もうけ」に関心をもっていますから、このことをきっかけに経済学を学習対象にしても、子どもたちにとって難しい学習にならないはずです。
いずれにせよ、子どもたちが関心をよせる学習対象を提示していくことがはじめの第一歩になりそうです。
学林舎は、以上のような視点からの教材開発を今後もおしすすめていきます。(文/学林舎 北岡)
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