教材を使った指導に関して
(先生からの質問)現在、個別で指導をしています。現在は、1~3人の生徒を同じ時間で指導しているのですが、これが、4人、5人と増えていったときに、どうするかということです。同じ学年ではない無学年の生徒が集まったとき、どんな教材で、どのような指導が考えられるかということとと、あるいは、無学年の生徒が教えあうような学習の場をつくることは可能かということなどです。
(学林舎からの提案)ご質問ありがとうございます。人数が増えたときの“場”の形成の仕方については、ひとつは“核”になる子どもがその“場”に存在する必要があると思います。“核”になる存在としては、先生との信頼感が確立されている生徒で、周りに左右されずに自分の学習ができる自立学習者です。こ“核”となる生徒が5人の学習者の中に2~3人いれば間違いなく“場”は形成されると思いますが、1人の場合、他の4人の質にもよるのですが、崩れるケースもあります。
そのため、指導する側が“生徒を選ぶ基準”を設定しなければいけないと思います。最低でも1ヶ月は生徒を見極める期間として設定する必要があると思います。「この子を伸ばせるのか!?」という自信を先生が1ヶ月間で見つけていただくのと子ども自身にもここに来て学習するという意識をつけさせないといけないと思います。簡単にいえば1ヶ月間で信頼関係を築くということかもしれません。
個人別指導の場合、学習教材に関しては、その子にあった教材はもちろんのこと、様々なパターンを組み合わせる必要があると思います。そのためにも先生に“頭の汗”をかいていただき、教材研究をしていただく必要があります。学習教材はあくまでも生徒と先生をつなぐツールとして位置づけていただき、選定していただければと思います。この試行錯誤がつづくと思いますが、その経験の中で先生だからできる教材の使い方が見えてくると思います。
ただ、そうはいってもたたき台になる提案も必要かと思いますので、参考になるかどうか分かりませんが、学林舎の成長する思考力GTシリーズ国語を仮に使った場合をご提案致します。成長する思考力GTシリーズ国語の場合、10-9級までは、7-8割読めるだけでできますが、8級以降は10割読めないとできません。そのためにも、読めるということを意識づけるための学習を、成長する思考力GTシリーズ国語を学習する前にする必要があるかと思います。その学習として、音読するということは大切です。音読ができないと黙読は低学年、未就学の子どもの場合、難しいと私は考えています。
そのため小学校高学年までは、最初の10分を音読の時間として、自分の学習するページを一度、二度音読させます。小学校低学年の場合、いきることばをつかって、書写しながら音読するということも可能かと思います。次に、自分が知らない語彙を抜き出させます。ノートにかかせても良いですし、表みたいなプリントを渡したほうが、バインダーなどに綴じてその子だけの語彙ノートができるかもしれません。抜き出した語彙を辞書を使って調べ、語彙ノートに意味を書かせます。調べたページに付箋をはります。
自分がどういったものに取り組むのかの下準備を意識させ、成長する思考力GTシリーズ国語に取り組ませます。いかに自分が何に向かって学習させるのかを意識させるのが、ここでは最大の目的と私は考えています。音読から語彙調べまで、20-30分程度とっていただき、成長する思考力GTシリーズ国語の学習時間を20-30分程度とっていただければと思います。時間設定については、子どもが自分のペースつかむまで先生がある程度設定してあげる方が、メリハリもつくと思います。答え合わせについては、学習姿勢ができるまでは、先生が見てあげ、プラス評価してあげる方が良いと思いますが、時間内で、答え合わせは難しいかもしれませんので添削して、次回にかえしてあげる方がスムーズにいくと思います。
そして、学習終わりに簡単なアンケートを書いてもらって、その日の子どもの状況を確認していただければと思います。
上記は、あくまでも私が様々な現場を見てきて、仮説検討したものですので、子どもの状況や状態によってはこのパターンを使えないケースもあると思います。
無学年に関しては、特に年齢幅はないですが、これる、これない時間帯があると思いますので、時間帯によってわけるということになるかと思います。また、核となる子がその場にいるのであれば、その子に協力してほしい用件を確認し、例えば、人に伝えることの重要性や人のしたことを評価することの重要性を位置づけを確認していただければと思います。
個人別指導の場合、あくまでも学習者が主役であり、核になる学習姿勢ができた子どもを育成できるか、そういった子どもを集めることができるかが大きなポイントになります。現実問題としては、小学生の内から塾に 来ていただいて、核になる子どもを育成するという形式になると思います。(文/学林舎編集部)
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