2020.04.17

進む少子化に学習教育は どう対応するのか

自己主張と表現力の違い

 

 日本の人口は2008年をピークに減少し、2019年には出生数が90万人を下回りました。今後いっそう少子化が進むと考えられる日本では、教育のあり方も日々変化しています。一方、日本でも多くの外国人が働くようになり、訪日外国人数や日本の在留外国人数は年々増加しています。日本だけでなく、さまざまな国の人々が世界中を行き来し、活躍しています。このようにグローバル化が進展する中で、日本では国際社会で活躍できるグローバル人材の育成が進められています。そこで、少子化が進む日本において、どのような教育が求められるのかについて考えます。
文部科学省は、グローバル人材は、以下の3つの要素を満たすことが必要であると定義しています。

① 語学力・コミュニケーション能力

② 主体性・積極性、チャレンジ精神、協調性・柔軟性、 責任感・使命感

③ 異文化に対する理解と日本人としてのアイデンティティー

 

単元担当制

 2020年から、小学校3・4年生でも英語学習が必修化されました。小学校教育で、子どもたちは英語を「話す」「書く」「聞く」「読む」といった基礎学習に取り組み、英語に親しみます。このような英語の基礎学習は、小・中・高を通じて行われ、①の要素の充実を図ります。少子化とともに少人数学級が増えていますが、これは一人ひとりに対する細やかな指導が可能になり、学力の向上に有用です。
 次に、②の要素を身につけるには、少人数のグループ学習で、子どもたちが課題について自ら考え、意見を出し合い、発表する、このような活動が効果的だと考えられます。中学校や高等学校の中には、グループによる課題研究を行っている学校もあります。
 ③の要素を満たすためには、世界のさまざまな文化にふれることが必要です。日常生活の中で子どもたちがふれるのは、学校や家庭、友人関係など、日本の限られた範囲だけです。家庭で外国に関する書籍や映像を見たり、美術館・博物館などを通して異文化にふれたりするなど、積極的に世界の文化に親しむことが大切です。また、文部科学省は、高校生の留学や海外の学校との交流を推奨し、特に活動がさかんな高等学校をスーパーグローバルハイスクール(SGH)に指定しています。学校現場においても、ICT(情報通信技術)を活用して外国の学校との交流を図ったり、国内の遠隔地にある学校どうしで意見交換を行ったりしています。

 

少子化学習

 将来的にはさらに少子化が進み、労働人口は減少すると想定されており、今後、日本は外国人労働者の受け入れを、ますます拡大していくと考えられています。また、世界の国々で活躍する人も、いっそう増えていくことでしょう。世界各国のさまざまな人が混ざり合う社会においては、3つの要素を満たすグローバル人材の育成が必須です。グループ学習やICTを活用しながら、能力や理解を高めていくことが求められています。(文/学林舎編集部)