小学校英語導入について考える
小学校英語は小学校3年生からの必修化、小学校5年生からの教科化が実施されています。
英語に関しては、様々な書籍が書店に並んでいます。その背景には、英語を言葉(第二言語)として使い切れていない現状があるからです。
日本人は中・高・大と10年近く英語教育を受けながら、言葉として使い切れていない背景には「受験のための英語」を学習してきたからです。実際に「話す英語」を学習してこなかったのが理由と考えられています。したがって、「日常英会話を中心にした英語教育を行う」というようになるのです。英語は言葉なので、使うことによって、身につくというのは言葉を獲得する道筋から考えても方法論のひとつとしては間違いはありません。問題なのは、どのレベルの英語を私たちはグローバル社会において必要かと言うことです。そういった議論がないまま、小学校英語は始まっているような気がしてならないのです。
そうはいっても「英語」がグローバル社会において、必要なのは確かです。日本においても、海外から様々な国の人が訪れる中、十数年前の日常話されない「英語」を学習するという感覚は、地域によって格差はあるものの身近に存在しています。そのため「英語で会話・対話すること」の必要性とその意味を学習の中で見いだすことは昔と比べて位置づけやすいと言えます。
小学生の英語教育は、子どもたちが、将来見つけるであろう自分の学習目的をより広い世界で、より深く考えられるようになるためのものでなければなりません。つまり、英語で「聞く・話す・読む・書く」ことが日本語しか知らない世界より、もっと自分の可能性を広げてくれることに触れてはじめて、将来につながる学習意欲がわくのです。
新しい世界への広がりは、「聞くこと」「読むこと」から始まります。この「聞くこと」「読むこと」を子どもたちにどのように習得させていくかが課題になります。日本の子どもたちの日常生活の中で、「話すという日常英会話」は、環境が変化したと言っても、意識しない限り全くと言っていいほどないのが現状です。子どもたちは日本語は当たり前のようにして生活の中で習得してきました。お母さんの声を聞いてお母さんを理解してきました。ものが言えるようになるまで、信じられないほどの言葉を耳にしてきたのです。相手の言葉を理解することができれば、自然と話すことができるようになります。でも、それは、単に単語を羅列的に並べたものです。でも、母と子の会話は十分成り立っているのです。文字を知った子どもは読むことによって、さらに世界を広げます。一つひとつの単語や文法がわからなくても、子どもたちは、明らかに文脈を理解し、新しい世界を発見しているのです。このような子どもたちの成長は、教え込むことによって成されるのではなく、目、耳、皮膚と全身で習得することによってあるのです。このことを私たちは肝に銘じておかねばなりません。私たちは英語学習の基本的な力もまた、文脈を読みとる力、推察力をつけることであることに気づくのです。「話すこと」は、子どもたちがそれぞれの場面で、ネイティブと向かい合ったときにしかなされません。その時、この基本的な力が発揮されるのです。
私たちはこのような英語学習の機会を子どもたちに与えるためにはどうすればよいのかを考えていかなければならないのです。(文/学林舎 北岡)
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