2020.08.21

塾が使っている デジタル教材,プログラムなど

オンライン学習

 新型コロナウイルスの感染拡大が続いており、終息にはまだ時間がかかる見込みです。ほとんどの学校で休校後に新学期を迎えたことにより、子どもたちが学習する時間は大幅に制限されることになりました。さらに、来年に実施される公立高校入試に関しては、各都道府県によって出題範囲の変更は発表され始めているものの、今のところ延期の予定はありません。これにより、子どもたちが置かれた状況は、より厳しくなったと言えるでしょう。コロナウイルスの蔓延が長期化する中で、子どもたちが安全で効率よく学習できるように、塾教材やプログラムのオンライン化が進んでいます。では、具体的にどのようにオンライン化が進んでいるのでしょうか。
 まず、多くの塾がZoomやMicrosoft Teamsなどのアプリを使ったオンライン授業を取り入れ始めました。自宅にいながら授業を受けられるという点では安全ですが、子ども一人一人の取り組み状況や理解の度合いがつかみにくいことから、引き続き改善しながら運用している塾も多いようです。

オンライン学習

 そんな中、注目されているのがAIを使った自宅での個別指導プログラムです。子どもたちはまずタブレットを使って講義を受けたり、メモをとったり、問題を解いたりして学習します。その進捗や理解度をAIが分析し、それぞれの子どもに合った問題や次の学習内容、進め方を組み合わせて提供してくれるのです。それにより、子どもたちは自分が必要な問題のみを解き、理解しやすい順番で学習を進めることができます。もちろん、学習サポートはAIだけではありません。人間の教師も専用の画面で彼らの学習状況を確認しています。さらに、AIは子どもの理解が深い部分、浅い部分、進む速度などを分析し、教師に渡します。教師はそれを見て、タブレットのチャットや電話などの機能を使って子どもの理解を補強します。子どもが塾に通い、対面式で授業を行っていたときと比べても教師と子どもの割合は同じくらいに設定されているところが多いようです。AIを取り入れた分、従来の対面式よりもサポートが手厚くなったとも言えるでしょう。すべてをAIが担当するのではなく、AIは学習の効率化をサポートし、人間の教師は気持ちの面でのサポートをする、という役割を分担した形のようです。AIと人間が共存していく時代の流れの中で、それぞれのよいところをうまく組み合わせた新しい形の学習方法と言えるでしょう。

学校の意味を問う

 

 また、受験対策用の模試をオンラインで受けられるプログラムの開発も進んでいます。オンラインで受けるメリットは、会場に行かなくても受けられるということの他に、いつでも受けられるので時間の制約がないこと、終わったそのすぐあとに結果を見られるということもあります。ある塾で、従来の紙べースの模試(各塾で実施)とオンラインで受けられる模試を実施したところ、オンラインの模試は従来の模試より約1.3倍の申し込みがあったそうです。試験会場に出かけることが難しい状況では、自宅で受けられるこの模試は人気があります。
自宅学習を余儀なくされる今だからこそ、より効率的な学習方法が求められています。長く厳しい状況ではありますが、苦境の中で生まれたものがより良い未来をもたらすこともあるのです。今回紹介したものや、これから開発されるオンラインでの学習方法が、教育全体の向上につながることを願っています。 (文/学林舎編集部)