「学校や塾の授業を受けるときは、予習をして授業に臨み、授業で理解を深め、復習によって定着を図るのがよい」と、よく耳にします。そして生徒は、この言葉を、いろいろな人から聞かされているに違いありません。両親、先生はもちろん、兄弟姉妹や先輩、友だちからも聞かされることがあるでしょう。このサイクルを忠実に守って勉強に取り組めば、学習したことが確実に身についていくのは間違いありません。
　学校や塾で授業を受けた後、生徒には、宿題が出されることがあります。宿題は復習の役割を担います。復習の効果については、「何かを学んだ後に何もしないと、人間は、1日後には学んだ内容の6割以上を忘れる。しかし、24時間以内に復習を10分するだけで、学んだ内容をほぼ思い出せる」とよくいわれます。この点からすると、その日の授業で学習したことを、それほど時間の経たないうちに、生徒に振り返らせることができる宿題は、復習として非常に効果的であるといえるでしょう。

　一方、予習はどうでしょうか。予習も、学習において非常に大切です。しかし、復習と比べ、その重要性が強調されることは、あまりありません。
　次の授業で学習する範囲の教科書を読んだり、わからないところを調べたりして、授業を深く理解するための準備をすることを、予習といいます。これは、見方を変えると、未知の内容に正面から向き合って、課題を発見し、その解決に向けて工夫を凝らす、主体的・能動的な学習だということができます。この観点から復習を捉え直すと、一度見たり習ったり、解いたりした内容を改めて確認する、受動的な学習だといえるでしょう。
新しくなった学習指導要領は、「何を学ぶか」だけではなく、「どのように学ぶか」も重視しています。そして、この「どのように学ぶか」について、「主体的・対話的で深い学び」と表現しています。
　「主体的な学び」とは、「学ぶことに興味や関心を持ち、自己のキャリア形成の方向性と関連付けながら、見通しを持って粘り強く取り組み、自己の学習活動を振り返って次につなげる」（中央教育審議会答申（平成28年12月））学びのことです。
　このことから、「未知の内容に正面から向き合って、課題を発見し、その解決に向けて工夫を凝らす」予習は、生徒たちにとって大切な、「主体的な学び」の場だといえるでしょう。
　予習は、主体的であるからこその大変さがあり、粘り強く物事に取り組む姿勢が求められます。しかし予習を通して生徒が身に付けられる力は、計り知れません。授業や復習と同様に、予習も大事な学習方法なのです。（文／学林舎編集部）