2020.12.18

通信制高校の進学に関して

学習現場を考える

 文部科学省の統計の一つである学校基本調査の結果の詳細が、12月に公表されます。先だって、8月に公表された速報値によると、通信制高校に在籍する生徒数が調査開始以降初めて20万人を超え、前年からも約1万人増加しました。少子化が進んでいる中で、在籍数が増加している通信制高校とはどのような学校なのでしょうか。また、通信制高校へ進学するメリットはどのようなものがあるのでしょうか。
 通信制高校とは「全日制・定時制の高校に通学することができない青少年に対して、通信の方法により高校教育を受ける機会を与える」ことが創設の趣旨であると、文部科学省のホームページに記載されています。通信制高校に在籍している人は、全日制の高校から転入した人や、中学卒業後に高校教育を受けられず、後年になって新たに学ぼうとする人など、様々です。近年では、3以上の都道府県をまたいで生徒を募集する広域校の生徒の約6割が不登校を経験していたという調査もあります。また、全日制と同じく、公立学校と私立学校があり、最近では私立学校において生徒数の増加が顕著です。

褒めて伸ばす

 通信制学校における学習の形態は、添削指導と面接指導、そして、多様なメディアの利用に分けられます。添削指導は、レポートを提出し添削指導を受けることです。面接指導は、全日制学校の授業にあたります。週に一定の割合で通学する場合や、一定期間にまとめて行う集中スクーリングが設けられている場合もあります。面接指導では、学校行事といった特別活動も行われます。多様なメディアの利用については、テレビやラジオ講座での学習が例としてあげられます。この多様なメディアを利用して学習することを単位として認めている学校の場合、面接指導や特別活動の時間の一部が免除されることがあります。また、自宅での学習だけでなく、協力施設などで添削や面接の指導を受けることができる場合もあります。

 

徒弟制度

 では、通信制高校に進学するメリットとしては、どのようなものがあるのでしょうか。
 最大のメリットは、授業時間帯が決められていないため、好きな時間に学習することができることです。そのため、学習以外の自分がやりたいことを生活の軸にすることができます。また、通学の時間が減らせること、他人と比較せず自分のペースで学習することもメリットといえるでしょう。
 一方で、デメリットもあります。自分自身で学ぶ時間を確保しなければならないということです。メリットであげた「好きな時間に学習ができること」は、別の視点から見ると、学習時間の確保という課題につながります。時間が定められていないからこそ、自分を律することが必要です。
 最後に、通信制高校を進学の一つの選択肢とする場合は、高校のホームページを確認するほかに、資料請求をすることをおすすめします。ホームページに記載されている情報は抜粋されていることもあるため、詳しい資料を取り寄せるほうがよいでしょう。また、インターネットで、通信制高校の在籍経験のある人の声を読むのも一助となります。しかし、この場合は、その人の主観であることに留意することが大切です。(文/学林舎編集部)