2021.01.15

中学教科書改訂に関して-数学

 文部科学省が定める「学習指導要領」の改訂にともない、2020年に中学校の教科書改訂が行われ、2021年度からは中学校で新しい教科書が使用されることになりました。
 それでは、どのような変更があったのか見ていきましょう。

問題解決力を育てる

【数学】

☆中学1年生
 他学年で学習していた、素数、素因数分解を学習するようになり、最初の階級からその階級までの度数の合計である累積度数や、最初の階級からその階級までの相対度数の合計である累積相対度数も新たに扱われるようになります。さらに、これまで中2で学習していた統計的確率についても、中1で学習するようになります。また、これまで中1ではじめて学習していた平均値、中央値、最頻値、階級については、小6で学習します。データの単元で学習していた、測定した値の誤差や近似値、a×10nの形の表現については中3で学習するようになります。
 中1で学習する内容が変わることで、これまでの教科書より、データの見方やデータ整理について学習する内容が多くなります。方程式や比例・反比例では、学習する内容に大きな変化はありませんが、合唱コンクールで体育館にいすを並べる計画についての方程式の問題や、電子レンジの出力と加熱時間についての反比例の問題など、身近な生活の場面と数学を関連づけて考える問題が増えています。

 

☆中学2年生
 あることがらが成り立たない場合の例である反例の用語を新たに扱うことになりましたが、現行の教科書からもともと扱われていたため、今回の改訂で教科書に大きな変更はありませんでした。他に、高校の数学Ⅰで学習していた四分位範囲、箱ひげ図の内容が教科書に追加されています。箱ひげ図は、データを小さい順に並べて4等分したときの、3つの区切りの値と、最小値、最大値をもとに表したもので、複数のデータの分布を比較することができます。中2でも、中1同様にデータの見方やデータ整理について学習する内容が多くなっています。

 

☆中学3年生
 素因数分解は中1で学習するようになり、これまで中1で学習していた誤差や近似値、a×10nの形の表現は中3で学習するようになります。
 中1同様、中2、中3について、学習する内容に大きな変化がない単元であっても、身近な生活の場面と数学を関連づけて考える問題が増え、数学を使って問題を解決する方法を考える内容が、これまでより多く扱われています。また、数学を通して多面的に、論理的に考える力を育てるために、論理的に考察したり、理由や方法を説明したり、学んだことをレポートにまとめたりする問題の扱いも増えています。さらに、プログラミングと数学を関連づけて学習する項目が扱われるようになります。プログラミングといっても、プログラミング言語を学習するわけではなく、数学の題材について、プログラミングの方法や改善点を考える問題が扱われています。