2021.02.16

アメリカの理科教科書分析・研究

 日本の教科書とアメリカの教科書を比較することによって、グローバルスタンダード(世界標準)を考えてみたいと思います。
 日本の理科学習は、小学校3年生から教科書を中心に学習がはじまります。アメリカでは幼稚園用から理科教科書があり、教科書を中心としたカリキュラムで学習が開始されます。

 

アメリカの幼稚園理科教科書

 

 日本の場合、教科書を中心に学校では学習指導がおこなわれ、知識の定着には教科書準拠のワークブックなどが学校内、学校外(学習塾など)で活用されています。アメリカにおいても5年前は日本と同じ形式をとっていましたが、現在は、ワーク形式の教科書で学習することが進んでいます。

 

アメリカの小学校理科教科書

 

 日本では中学校は学年別、高校では分野別での教科書での学習指導がおこなわれていますが、アメリカでは、中学校から詳細な分野別での学習指導がおこなわれています。

アメリカの中学校理科分野別教科書

A: Cells and Heredity
B: The Diversity of Living Things
C: The Human Body
D: Ecology and the Environment
E: The Dynamic Earth
F: Earth’s Water and Atmosphere
G: Space Science
H: Matter and Energy
I: Motion, Forces, and Energy
J: Sound and Light
K: Introduction to Science and Technology

アメリカの中学理科教科書

アメリカの中学理科教科書

アメリカの中学理科教科書

アメリカの中学理科教科書

 

 日本では文部科学省が示す、学習指導要領を中心に教科書が作成されています。アメリカは州によって教育に対する考え方が違いますので、その州に合わせた教科書と全州で使える標準版の2種類の教科書が存在しましたが、2014年からは州によって教育の格差がでないように標準版の教科書を使っての指導が推奨されています。
 教科書内容に関して、日本、アメリカを比較すると基礎的な部分に違いはありません。しかし、発展的な部分、知識の広がりを考えたとき、日本の教科書よりアメリカの教科書の方が学習者にとっては効果的だと考えます。教科書から学習、知の広がりを考えたとき、日本の教科書の基礎事項だけでは限界があります。日本の理科教科書に求められるのは、より学習者が興味、関心をもって学習する機会創出を写真やデジタルからのアプローチだけではなく、「言葉による表現」を増やすことによって学習者に与えてほしいのです。そのことにより、「理科表現」が生まれ、研究、論文発表につながるのです。

〇アメリカの教科書どう使う!?
 理科の場合、理科に対する基礎知識をまず日本の教科書で学習し、アメリカの教科書を利用することをおすすめします。
理科に関する基礎知識があることによって、全体のイメージが推察できるからです。
 国語や算数に比べて、専門用語がでてきますので基礎知識があるかないかで理解度がまったくといっていいほど異なります。将来理数系の技術職を目指す子どもにとっては、中学校、高校の段階でアメリカの理科教科書を読解することによって、大学、社会人になったときに大きな力になります。

アメリカ高校教科書 Science

Science Dimensions Biology Student Edition

〇どのようなところで使われている
 Houghton Mifflin Harcourt・McGraw-Hill のScience(理科教科書)は、現在、アメリカの公立学校を中心にシンガポールの公立学校、台湾の公立・私立バイリンガル用の学校、韓国の私立学校、日本のインターナショナルスクール、SSH指定校、学校図書館、英会話スクールなど。