2021.09.17

○Cross Road 121回 成長のための経験の機会  文/吉田 良治

出生数の減少による、教育への影響

 

 コロナ禍2年目の今、ワクチン接種が広がり、少しずつコロナ前の日常が戻る、と期待されましたが、まだまだ感染が収まらない状態が続いております。感染の第5波も少し落ち着き始めましたが、ワクチン接種対象外の小中学生にとっては、10代の感染者が急増する中、教育の現場がクラスター感染の防止に奔走されています。アメリカでは秋の新学期で教室での対面授業が再開されましたが、マスク着用義務などコロナ禍の新様式の生活の継続は重要となっています。
 制限のある中での学校生活が続く中で、部活動も制限が大きくなっています。特にスポーツ活動は元々飛沫や接触感染のリスクが高いので、一般の学校生活以上に感染予防の対策が必要になります。こうした対面で行う様々な取り組みの経験不足は、コロナ終息後通常の学校生活や活動が戻った際、かなりのハンディになってくると考えられます。しかし、焦らず今ある環境でできることに取り組むことが重要です。あくまでも現状最優先はウイルス感染防止ですので、ウイルス感染のリスクが高いことは極力避ける必要があります。今経験できないことはコロナ終息後、教育機関が経験する機会を作ることが求められます。

 

子どもたちのためにできることを考える

 2011年から続けて参りましたコラム“Cross Road”は今回で最終回となりました。10年間続けさせていただき、貴重な経験をいただいた学林舎の北岡社長には心からお礼を申し上げます。また、毎月コラムをご覧いただいた読者の皆様、長い間ご愛好いただき誠にありがとうございました。
 この“Cross Road”では教育やスポーツ、そして人材育成としてライフスキルプログラムやスポーツマンシップについて取り上げて参りました。さらに家庭の子育て、教育機関やスポーツの指導の現場で発生する体罰問題についても数多く取り上げてきました。日本であまり聞きなれない“ライフスキル”という言葉は、アメリカの教育の現場やスポーツ指導の現場で重視されてきたプログラムです。子どもの成長に必要なことは何か、単なる力による躾ではなく、経験する機会の創造に力を入れた取り組みは、日本であまり重視されてきませんでした。失敗を良しとせず、失敗を罰する指導は、家庭の子育て、教育やスポーツ指導の現場だけでなく、企業の上司と部下の関係にも根深く蔓延る日本の大問題です。
 アメリカのコメディアンのジャック・レモンが残した言葉に体罰を改めるヒントがあります。
 “失敗は決して誰も傷つけない!あなたをだめにするのは失敗を恐れることだ!”です。日本で子どもが失敗を恐れるのは、それをとがめる大人がいるからです。大人は“失敗から学び、次の挑戦につなげる成長の糧こそ成功への道”と認識し、子どもに成長する経験の機会を作ることが重要です。失敗は決して致命的ではありません、失敗は何か重要なことに挑戦しているということなのです。失敗をする機会があなたを大きく成長させてくれます。成長のためのミスを恐れず挑戦し続けていってください。そしてこのコロナ禍も“成長の機会としてとても重要な経験だった!”と、笑い飛ばせる時がくることを願っています。

 ありがとうございました。

 

学生アスリート教育プログラム 紹介動画(追手門学院大学) 吉田良治さん指導

吉田良治さんBlog