学林舎が伝えたいこと-日本語を使いこなす
「子どもは助詞の使い方を知らないから、文脈のある文章が書けない。」ということを先生から耳にします。しかし、これは子どもに限ったことではなく、言語学者の間でも昔から論議がかわされてきているほど扱いにくく、日本語の根幹にふれる部分でもあります。簡単に言えば、英語などは単語の語順によって言語表現を達成しますが、日本語は語順にとらわれるのではなく、助詞によって言語表現が達成されると言って良いほどです。このことは、日本の文化と深く関わっています。
外国の人から日本人の言葉にはふくみがあると言われるように、助詞によって意味合いが変わります。たとえば、「私が生徒です。」と「私は生徒です。」にどんな違いがあると考えられるでしょうか。「が」と「は」の違いはあっても、主語は「私が」「私は」で、述語の「生徒です」は同じです。英語ではどちらも「I am a student.」 ですが、この二つの文は明らかに意味合いが違っています。これに他の言葉を補ってみると、「私が(○○中学校の)生徒です。」と「私は(先生ではなくて)生徒です。」というように、「生徒」にふくみができてしまうのです。つまり、前者は特定の学校の生徒を指し、後者は個別的な存在を普遍的な存在の一つに位置づけたものになっています。そのほかにも、「の,に,で,と,ながら,さえ」など同じ助詞でも使い分けが必要なものがあり、助詞一つで意味が異なってくるのです。
しかし、今私たちが置かれている環境では「助詞」を使わなくても推察は可能です。例えば、漫画、テレビ、電話、SNSなどでは主に「話し言葉」が使われています。書くということにおいても、FAXのメモ書き程度で十分用を足せる時代です。また、日本語と英語をチャンポンにした歌(歌詞)があふれていますから、助詞などはリズムを重視すればじゃまなだけです。
古典的な日本の文化が消えていくように「ふくみ」のある助詞も失われ、将来的には5W1Hを成り立たせるために必要な助詞だけが残っていくのかもしれません。しかし、このことは特別悲観することではなく、むしろ、より明解でわかりやすい文章を、誰もが書けるようになるということです。
しかしながら現代を生きる子どもたちが、わかりやすい文章を書くためには、5W1Hを的確に表現できる「助詞」の使い方を身につけなければなりません。学林舎の教材では、低学年であれば「成長する思考力GTシリーズ国語10級」で助詞の使い方が自然に身につくように編集されています。小学校高学年、中学生であれば「成長する思考力GTシリーズ国語 文法力特化」で日本語文法を学習していただけます。
小・中学生のうちに正しい日本語を学ぶことによって、その子の日本語能力は大きく成長します。
□成長する思考力GTシリーズ国語10級「文のしくみ」
第1回〈 「の」「で」「を」などの文字の使い方を学ぶ 〉・・・ 格助詞
第2回〈 「は」「ばかり」「こそ」などの使い方を学ぶ 〉・・・ 副助詞
第3回〈 「ば」「けれど」「ので」「ながら」などの使い方を学ぶ 〉・・・ 接続助詞
第4回〈 どんな様子かを表す言葉の使い方 〉・・・ 形容詞
第5回〈 どんな様子かを表す言葉の使い方 〉・・・ 形容動詞
第6回〈 様子や程度を表す言葉の使い方 〉・・・ 副詞
第7回〈 どんなものかを表す言葉の使い方 〉・・・ 連体詞
第8回〈 音や様子を表す言葉 〉・・・ 副詞
第9回〈 丁寧な言葉の使い方 〉
第10回〈 カタカナを使う言葉を学ぶ 〉
☆成長する思考力GTシリーズを学習するにあたって時間を調整することは重要です。“考える学習”をしたことがない子どもにとっては、30~60分間、GTを学習することは難しいです。大切なのは、継続させることです。理想を言えば、毎日、5~10分、1問でも構わないので、“考える学習”を積み重ねることです。
☆考える学習を“GTシリーズ”中心に考えたとき、周辺教材は必要不可欠です。40~60分の学習時間を想定した場合、はじめからGTを学習することで、学習意欲を低下させるケースもあります。スポーツと同じで、準備体操は必要です。はじめの10~15分はトレーニング学習(漢字、計算ドリルなど)で頭のウォーミングアップをしてから、GTで学習することを推奨します。
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