子供たちの生活の行き先 ゲーム障害とは?
ゲームをする人は、子どもだけでなく大人にも多いものです。近年では、オリンピック競技として検討もされている「eスポーツ」がメディアでも取り上げられるなど、ゲームに関心を持つ人も増える傾向にあります。
そんな中、世界保健機関(WHO)は、国際疾病分類第11版(ICD-11)に“ゲーム障害”を疾病の一つとして加えました。「国際疾病分類」とは、病気やけがを体系的に記録、分析するためにWHOが作成したもので、日本を含む多くの国がこれに基づいて死因や患者数の統計などを行っています。ICDで疾病として分類されたということは、“ゲーム障害”が精神障害の一つとして正式に認められたと言えます。
“ゲーム障害”とはどのような疾病か、ICD-11では、以下のようなことを診断基準としています。
1.ゲームに伴う深刻な問題が発生している。
2.ゲームにより問題が起きているのにゲームを続ける。
3.ゲームを他の何よりも優先する。
4.ゲームを中断したり、頻度や時間をセーブしたりするなどのコントロールができない。
5.1~4の状態が12カ月以上継続し、個人・家族・社会・学業・仕事その他の重要な活動に支障が出ている。
1の「深刻な問題」とはどのような問題であるのか、判断が難しいところもあります。
ゲームのしすぎで、ゲームをしている本人がその状態を自分にとって「深刻な問題」だと思っているのに、ゲームをやめることができない。という場合は、“ゲーム障害”であるといえるでしょう。しかし、ゲームをしている本人は「深刻な問題」だと思っていない場合もあります。例えば、仮に家にテレビが1台しかないにも関わらず、家族の1人が長時間テレビゲームをしており、他の家族が見たいテレビ番組を見ることができずに困っている、というような状態であれば、ゲームをしている本人は問題ないと思っていても、家族にとって「深刻な問題」であるといえるでしょう。
また、ゲームから離れていてもゲームのことばかり考えてしまう、イライラや不安が募り、うつ状態を引き起こし、不登校・引きこもりになる、などもゲームに伴い発生している深刻な問題の例として挙げられることがあります。
このような問題が発生していない人の中にも、もう眠らなくてはならない時間でも、今いいところだから…とゲームを続けたり、まだ宿題が終わっていないけれどちょっとだけ、とついゲームを始めてしまったり…。といった経験がある人もいるのではないでしょうか。このような人も“ゲーム障害”のいわゆる「予備軍」と言えるのかもしれません。
では、“ゲーム障害”を治す・予防するためには、どうすれば良いのでしょうか。“ゲーム障害”に陥る原因の一つとして、普段の生活の中で「自分には居場所がない」と感じているケースが挙げられます。日常で孤立していると感じている人が、ゲームの中での友人関係に依存していくケースです。現在、“ゲーム障害”に対して、政府はほとんど対策をとっておらず、個人個人での対応が必要となります。“ゲーム障害”から抜け出すために必要とされているのは、ゲームを取り上げたり、制限をかけたりしてゲームから離れされることではなく、本人が自分の問題であると理解し、自覚することだと考えられています。本人が自らゲームをする時間の調整などを決断した上で、家族や周りの人が協力し続けることが必要であると言えます。普段から家族や周りの人との関係を大切にすることが重要であり、更に言えば、半年後や1年後の理想の未来を具体的に思い描くと、自分だけでなく、周りの人も望む未来の自分の姿に向かって変化していくことができるといいます。また、ゲーム以外のストレス発散法を見つけることも効果的です。ゲーム以外にストレス発散の場所があれば、上で示した「自分の居場所」も自然と見つかるかもしれません。
今、身の回りにはスマートフォンを含め、様々なゲームがありますが、趣味の一つとして、ほどよく楽しめるつきあい方を見つけていきたいですね。
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