数字から何が見えてくるか考えてみよう
数字ってなんだろう?と思ったり、考えたりする時間をあたえられないで、子どもたちは算数という科目学習をはじめます。そのため、「なんで、こんな計算しなければいけないの」「どうして、こんなに数字が並んでいるの」と反復練習に意味をもてないまま学習している状況です。
ここでは、数字について考えてみたいと思います。
1.数字から何を学ぶか?
数字というと、「計算」というイメージがあります。でも、数字は何も計算だけじゃありません。もっと、身近に存在します。それは、ものを買うときに必ず見る「値段」。つまり、数字は私たち人間が生活していく上で、いつもつきまとっています。
この数字から規則性を発見し、分析したり、推察したりすることによって、新たな世界を創り出すのが、算数・数学。私たちの身のまわりには、考えるための数字がちりばめられています。身近な例でいえば、モノを買うときの「定価○○○円、割引き30%」という表現から私たちは安いと思い、いくら得したかと考えます。そして、買うか買わないかを決めたりもします。私たちは数字で動かされているといってもよいくらいです。
では、この数字、一体誰が、どうしてつくったのかを考えてみましょう。
2.数字がなかったら?
もし、この数字がなかったら、どうしますか?
大昔、まだ人間が数字を知らなかったころのことです。ひつじをたくさん飼っていた少年は、ひつじをさくの中に入れるたびに、小石を1つならべる。そして、羊をさくからだすときは小石を1つとりだす。こうして、ひつじがさくの中に全部もどってきたかを、たしかめました。数字がなくても昔の人は、頭を使っていたことがこのことで分かります。
3.数字・計算の発明
数字がなければ、ないなりに考えて生活していたけど、生活が進歩するにつれ、相手に数を伝えたり記憶したり、数えきれないものがあることから、数字が発明されました。さらにその数字を使って計算するという、すばらしい発明をしてくれたのがインドの人々でした。
インドの人々が発明した数字。それは、現在使われている、1,2,3,4,5,6,・・・10などの「算用数字」といわれています。算用数字のすぐれた点は何といっても位が変わっても別の数字を使わなくてもいいということです。例えば、ローマ数字を見てみます。
1=Ⅰ 2=Ⅱ・・・10=Ⅹ、100=C
上の数字を見比べても分かるように位によって表示する数字が変わってくるというめんどくさい表示のしかたです。それに対して算用数字は、数字は0~9までの10個だけです。これを位によって並びかえるだけで表示できるからシンプルで使いやすい。
そして、位を形成する中でもっとも重要なのが、「0」という数字。0がなかったら、「304」という数字などはとうてい表せないからです。0は「悪魔の数字」ともいわれ、目に見えないものを表すもっとも数学的な意味をもっています。この0について、指導者は子どもたちと一緒に意味や価値を考えてほしいと思います。
このように数字や計算ができたのも、人間の社会生活を向上させるためです。そして、さらに人間は数字からいろいろな規則性を発見し、「定理」や「公式」をつくってきたのです。専門的な領域こそ本質的な学習なので、科目学習としての算数、数学の前に考える必要があると思います。「なぜ? 算数、数学を勉強するの?」の疑問を超えていくために。(文/学林舎 北岡)
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