2023.09.14

テストはアナログ、学習指導はデジタルの違和感

オンライン学習

 新型コロナウイルスの影響で、アナログな学習方法からデジタルな学習方法への移行が急速に進みました。しかし、このデジタル学習環境の中で、学習評価についてはまだアナログな方法が主流です。例えば、テストも専用のタブレットを使用して行えば、問題なく評価できると思われますが、大きな枠組みである入試などのテストは、記述力を求めるためアナログな方法が必要です。
 現在の子どもたちの生活のほとんどはデジタルな活動で占められています。タブレットやスマートフォンを使ってコミュニケーションを取る時間も含めて、デジタルな世界に浸っています。このような状況から考えると、日本社会全体もデジタル化に向かって進んでいるのは明らかです。

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 しかしながら、私は少し古風な考えを持っているため、デジタル学習の効果について疑問を感じてしまいます。特に、「考える力」と「表現する力」を育てるためには、多くの選択肢を提供するデジタル学習では、選択力は身に付くかもしれませんが、問題の本質を自己表現として獲得することは難しいと考えています。
 ただし、デジタルツールを活用することによって、自己表現の場が広がることは学習効果にもつながると思っています。例えば、オンライン授業やビデオ会議ツールであるZOOMを使用することで、生徒たちは自分の意見を発表したり、議論に参加したりする機会を得ることができます。これによって、自己表現のスキルを向上させることができるのです。デジタル学習は、アナログ学習と比較して利点も欠点もあります。一方で、デジタルツールを活用することで、学習の幅が広がり、より多くの情報に触れることができます。また、デジタルな環境では、コミュニケーションや協働の機会が増えるため、社会的なスキルも身に付けやすくなると言えます。一方でデジタル学習では、情報の選別能力や集中力の低下、情報の氾濫などの課題もあります。また、自己学習の能力も求められるため、自己管理や自己指導力を持つことも重要です。
 デジタル学習は今後ますます重要な役割を果たしていくでしょう。しかし、アナログな学習方法も重要であり、学習の目的や内容に応じて適切に使い分ける必要があります。どちらの方法も長所と短所がありますが、両方を組み合わせて活用することで、より効果的な学習環境を構築することが求められます。(文/学林舎 北岡)